私、畑中たけしは12分という質問時間の中で、市政の当面する彩都民間東部土地区画整理事業と市の行・財政運営の基本となっている「ビルド&スクラップ」について質疑しました。
2018年6月市議会一般質問-彩都東部地区民間土地区画整理事業について
【畑中議員1問目】民間彩都東部開発についておたずねします。
第一に、UR施行の全国のニュータウン事業の終焉についておたずねします。
「閣議決定」で2013年度には事業の中止、2018年度中すなわち本年度中には全国のニュータウン開発におけるUR所有地の処分期限を迎えます。彩都西・中部では保留地未処分があと0.3㌶となりましたが、それは強引なまとめ売りと投げ売りによるものです。たとえばこの年度末には彩都西部用地を含む全国のニュータウン用地54物件面積約11㌶(甲子園球場約3ヵ所)約90億円(平均㎡単価8万3千円)で長谷工コーポレーション、東急リバブル、総合地所に処分されています。こうした事例は他にも多数存在すると思われます。まさにこれがUR施行のニュータウン事業破たんの実態です。この結末を見ても茨木市は「事業礼賛」の姿勢は変わりませんか。また東部に所有するUR所有地は今後どうなるかもあわせておたずねします。
【1問目答弁】【中野市理事答弁】彩都東部地区について順次ご答弁申し上げます。まず、URに関してですが、URをとりまく状況の変化はございますが、彩都のまちづくりについては、大阪府がこの3月に改定した「大阪の成長戦略」にも位置付けられるとともに、本市の発展につながる事業であり、引き続き、進めてまいります。URの所有地について、府と市において、国とURに対し、東部地区のまちづくりへの支援、継続的な土地保有、組合区画整理事業への協力を要望しており、URは継続して協力してくれるものと認識しております。
【畑中議員2問目】東部地区のUR所有地についておたずねします。いずれにしても閣議決定の全国のニュータウン用地の処分期限は今年度中です。URから本事業終了まで保有するとの確約があるのかどうかおたずねします。
【2問目答弁】【中野市理事答弁】URの所有地についてですが、URからは、確実に事業完了まで保有するとの確約はいただいておりませんが、府と市が協力して、継続した協力を要請いたしておりますし、URはそれに応えて、継続して協力してくれるものと認識しております。
【畑中議員1問目】第二に、事業の進捗状況についておたずねします。直近のURが行った2つの調査2017年9月及び2018年3月の「彩都東部地区事業化案検討業務報告書」で、「民間彩都東部開発」すなわち組合施行による当該区画整理事業の全体像が出てきました。事業主体から撤退したURが、現在は一地権者の立場でありながら、計画づくりの主役を務めるのは適法ではありません。ここに撤退したURに全面的に頼らなければ、「計画づくり」さえ出来ない最大の矛盾があります。
URが彩都東部開発から事実上の撤退をしてから、はや8年。日本共産党は当初からUR開発に代わる「民間彩都東部開発」は、こまぎれ、さみだれの乱開発は必至と指摘してきました。これに近年「環境破壊」と「虫食い開発」の可能性が加わり、一層の乱開発の状況を呈しています。
1つ目に6分割「事業化プランたたき台」についておたずねします。上記のUR調査では先行2地区を除く残りの約280㌶を6つに分割する「たたき台」が示されています。AからFの6つに分割する案ですが、それぞれの面積、土地の所有状況、総事業費、予定平均減歩率、計画人口をお示し下さい。うちD、E、F地区はそれぞれの地区の先行整備では「事業採算制確保不能」となっていますが理由をお示し下さい。またいずれも茨木箕面丘陵線を含むC地区(中央エリア)の先行整備となっています。
【1問目答弁】【市理事答弁】つぎに、6分割プランのたたき台についてですが、区域については、東部地区の南側から順にA区域からF区域まで6分割しており、数値については確定したものではなく、地権者協議会の議論用に算定したものでございますが、順に申しあげます。
面積 土地所有の状況 総事業費 平均減歩率 計画人口
A区域 約31ha 地権者数22件 約50億円 概ね70~80% ―
B区域 約35ha 地権者数34件 約30億円 概ね70~80% ―
C区域 約49ha 地権者数46件 約140億円 概ね80~90% ―
D区域 約51ha 地権者数54件 約130億円 概ね80~90% ―
E区域 約61ha 地権者数44件 約40億円 概ね80~90% ―
F区域 約59ha 地権者数13件 約80億円 概ね70~80% ―
計画人口については、具体の検討しておりません。
【1問目答弁】【市理事答弁】つぎに、D・E・F区域の事業採算制についてですが、これらの区域を先行単独で整備するとインフラ整備などの地区外工事が多くなり、事業費計算上の減歩率が100を超え、区画整理事業が成立しないため、C区域から事業実施することが妥当と判断しております。
【畑中議員2問目】6分割たたき台についておたずねします。事業の成否を決める茨木箕面丘陵線を含むC地区(中央エリア)でさえ、平均減歩率は80から90%です。内訳では公共減歩が40%、保留地減歩が49%、合算減歩が89%と極めて高率です。先行整備の役割を担い、そのため5%が上乗せになります。しかも個人の地権者の保有比率が10㌶・全面積の20%を超えています。個人の場合は小規模の所有が多数です。加えて平均減歩率の極端な引き下げは困難、その方策として挙げる工事費抑制、宅地面積増加、保留地処分価格のアップなどは現下の経済情勢から見ても逆のリスクが高いと言えます。市の見解を求めます。
【2問目答弁】【中野市理事答弁】つぎに6分割「事業化プランたたき台」についてですが、彩都東部地区は、新たに開通した新名神などの交通至便、都心との近接性などの魅力ある立地特性があり、これまでの民間事業者の視点であるアドバイザーの意見も踏まえて検討してきた事業計画であることから、高率の減歩率となっておりますが、事業化は可能と考えております。
【畑中議員1問目】2つ目に予定平均減歩率についておたずねします。そのC地区でさえ平均減歩率は80から90%です。UR施行の場合の平均減歩率50%と対比しても、整備費用を著しく減額しても平均減歩率80から90%は高率です。平地ならともかく、一からのインフラ整備と多額の造成費の必要な丘陵地の組合施行の区画整理事業です。物理的に不可能ではありませんか。見解を求めます。
【1問目答弁】【市理事答弁】事業の効率性についてですが、これまで、事業がより効率的なものとなるよう、地権者協議会において検討を進めてきたものであり、高率の減歩率とはなりますが、事業は成立するものと考えております。
【畑中議員1問目】3つ目に、一般地権者の動向についておたずねします。さらにC地区も46件の土地所有者のうち、一般地権者が33件とかなり高率です。昨年11月から12月にかけて行われた「地権者意見確認調査」は「全体では9割賛成」としていますが、事業そのものに反対する意見は3%から4%と2013年度UR調査と底流は変わらないのではありませんか。主な反対意見は「減歩率が高すぎる」「開発そのものや今回の土地利用に反対」「自然資源が他地域との競争優位性になる」との意見も続いています。事業に賛同している人も高率の減歩率に疑問を持っています。また「市街化区域で高額の固定資産税に困っている」「道路と河川整備が重要」とのもっともな意見もあります。こうした意見に茨木市はどう対処するのかおたずねします。とくに事業の成否を持つC地区の一般地権者の意向と対処についておたずねします。
【1問目答弁】【市理事答弁】地権者意見への対応についてですが、事業を進めるにあたっては、地区内外の道路・河川などの公共施設管理者との協議・調整を行うとともに、C区域の一般地権者の理解と協力を得るため、引き続き、意向把握と丁寧な説明に努め、協議、調整を図ってまいります。
【畑中議員1問目】4つ目に、将来の業務一括代行者の動向についておたずねします。上記のUR調査でも、その調査検討目的は「先行2地区を除く事業協力者確保に向けて地権者及び検討アドバイザーの意向を踏まえ、事業化条件等を整理・検討して業務代行予定者募集が可能な計画案等を検討することで、事業化実現に資する事を目的とする」としています。現行事業検討と見直しは「ゼネコン」に気に入ってもらうための一層の乱開発の推進ではないでしょうか。また「アドバイザー3社すなわち竹中工務店、清水建設グループ、フジタは本年度以降もエリア別からエリア全体のアドバイザーになるということですが、個別ではすべて離脱しました。いずれにしても計画全体を一層の「乱開発」に導くものではないでしょうか。見解を求めます。
【1問目答弁】【市理事答弁】事業化検討アドバイザーについてですが、東部地区全体の開発整備を計画的に進めていくため、アドバイザーの意見も聴取し、取り組んでいるものです。なお、アドバイザー3社については、構成員は若干、変更になっていますが、今後も引き続き、協力をいただくことになっております。
【畑中議員1問目】第三に、「組合施行彩都東部土地区画整理事業」に係わって、行政の公平性と一体性確保の確保についておたずねします。地方自治法第7章執行機関第一節第138条の2(執行機関の義務)では「普通地方公共団体は法令等に基づきその事務を自らの判断と責任において誠実に管理し執行する義務を負う」とし、その立法趣旨について、逐条解説では「地方公共団体の執行機関が自らの職務権限を誠実に実行し執行するという点に欠けるうらみがないわけでなく、あるいはその執行を怠り、あるいは権限を逸脱し、拘束を受けるべからざるものの拘束を受けて特に利益に奉仕する等の事に起因して執行が公正妥当になされているとは必ずしも言えない実情があったことからの反省である」と記述されています。本件では「組合施行土地区画整理事業」と「宅地造成規制法」の適法・適切な執行が茨木市の執行機関の課せられた第一義的事務と考えます。UR施行の事業における茨木市の立場とも違うと考えます。あわせて見解を求めます。同じく(執行機関の組織の原則)第138条の三の②では「長の所轄の下における一体性の確保」が規定されています。逐条解説では「同一地方公共団体の作用として、矛盾・齟齬を来さないように一体的総合的な運営が必要」とされています。すなわち「普通地方公共団体は法令等に基づきその事務を自らの判断と責任において誠実に管理し執行する義務を負う」ことと「本件組合施行土地区画整理事業の地権者の主体的な取り組み活動を支援すると称して事業を推進するために「公金を支出する」ことは、地方自治法からして違法かつ不当なものです。法務コンプライアンスの立場からの答弁を求めます。
【1問目答弁】【岸田都市整備部長答弁】行政の公平性と一体性の確保についてです。土地区画整理事業や宅地造成規制法の認可権者としては、関係法令の規定に基づき、適正に処理してまいります。つぎに地権者への支援についてですが、彩都東部のまちづくりについては、本市の「第5次総合計画」で揚げる将来像の一つである「都市活力がみなぎる便利で快適なまち」を実現する施策として位置づけらており、本市のまちづくりに大きく関わるものでありますことから、その実現に向けた取組みをされている地権者協議会の活動に対して支援しているものであります。
【畑中議員2問目】今年度の本事業に係わる茨木市のいわゆる支援活動の内容とそれに係わる支出内容をお示し下さい。地権者協議会の活動の支援といいますが、全体の280㌶その地権者の内訳は面積比80%は阪急電鉄の100㌶を筆頭に222㌶は法人所有地です。個人地権者所有地は全部で57㌶20%以下です。その経費は法人の地権者に適切な負担を求めるべきではないでしょうか。答弁を求めます。しかもこの組織を舞台に業務代行予定者が反対ないしは異論を持つ個人地権者の各個撃破をやりかねません。以上の茨木市の活動は地方自治法逐条解説にいう執行が公正妥当を欠いている状況ではありませんか。執行機関の最高責任者市長の見解をお求めます。
【2問目答弁】【中野市理事答弁】本年度の支援活動の内容とそれに係る支出内容についてですが、地権者協議会の活動支援といたしましては、協議会の事務局として、勉強会や説明会等の開催や意向調査の実施、事業計画等の検討、協議を行う協議会の開催などの調整業務を行い、円滑に協議会活動が進むよう取り組んでいます。
【2問目答弁】【中野市理事答弁】協議会活動にかかる費用につきましては、「公益財団法人大阪府都市整備推進センター」の「まちづくり初動期活動サポート助成」を充当することとしており、市としての支出の予定はございません。また今後事業の施工にあたりましては、地権者は応分の負担がされるものとなります。
【2問目答弁】【大塚副市長答弁】東部地区の開発整備については、これは東部地区に限らず彩都全体でございますけれども、先ほど部長が答弁申し上げたとおり、本市将来のまちづくりの推進と地域課題の解決に資するものということで総合計画にも位置づけ、また広域的には大阪府の戦略にも位置づけ、府市協力して、また地権者とも協力しながら取り組んでおるものでございます。その推進にあたっては、地権者全員で構成をされた地権者協議会の活動を支援しているものです。また、事業化にあたっては、土地区画整理法等に基づき、適正に進められているものであります。このような事業でございますので本市といたしましても、彩都東部地区のまちづくりは今後とも本市の魅力と活力向上につながるものとするためにも、引き続き、協議会活動を支援していく考えでございます。
【畑中議員3問目】組合施行彩都東部地区区画整理事業について重ねておたずねします。
高減歩率を引き下げのために、茨木市はインフラ整備等で投入すると想定する補助金の内容をお示し下さい。また地権者協議会を含むその他の協議の中で、必ず個人の地権者と法人の地権者の間に利害が対立します。茨木市はどちらの側につくのかお示し下さい
【3問目答弁】【中野市理事答弁】市の想定する補助金の内容についてです。
先ほどお示ししました地権者協議会における減歩率の算出におきましては、補助金については考慮していないものでございます。補助金の内容につきましては、今後、事業の進捗にあわせまして、検討していくこととしております。
【3問目答弁】【中野市理事答弁】個人地権者と法人地権者の利害の調整についてです。
土地区画整理事業は、法で定められた地権者に対して公平、公正なルールで進めるものであり、個人、法人関係なく、適切に対応してまいります。